シングルマザーの友達ができた話


私は結婚していない。機会があればいいかもね〜程度で、結婚に対してこれといった憧れも無い。
自分ひとりが生きていくために必要な力、生活スキル、そして自分の心だけを豊かにするためのささやか趣味にだけ生きてきた私には、結婚、ましてや離婚後の生活、しかも子供との生活なんて想像もつかない世界だった。

出会いは一匹のひつじから

彼女と友達になったのは本当に何でもないきっかけからだった。
手を繋いで前を歩く親子の子供さんのリュックから「ひつじのショーン」のぬいぐるみが落ち、気づいた私が拾いあげ、呼び止めたのだ。
かねてよりショーン好きだったという事もあるが、子供が可愛がるにしてはかなり年季の入ったぬいぐるみが気になり、ついつい話しかけた。
痩せ気味の彼女はシングルマザーで、痩せ気味のお子さんの洋服やオモチャは基本的にお下がりでありショーンもフリーマーケットで数十円で手にいれたものとの事。

慈悲や哀れみの気持ちが微塵も無かったというと嘘になるが、親子共に悲壮を感じさせない明るいしゃべり口調と人懐こさに心が温かくなり、ご飯でもどうですか?と、考え無しにお誘いしてしまっていた。人生初のナンパである。

普段は昼夜忙しく子供と接する機会も極稀ではあるものの、その日は偶然1日休みで、保育園帰りの子供さんとこれから何して遊ぼうか相談し合っていたそうだ。
貴重な時間を私が奪ってしまった後ろめたさはあったが、だったら全力で楽しい日を過ごそうと公園で全力疾走し、レストランで特大ハンバーグをご馳走し、湾岸をドライブしてお別れ。
お母さんの方は恐縮しっぱなしだったが、最後は「また遊んでね!」と満面の笑みを浮かべるお子さんと笑顔で送り出してくれた。

シングル家庭に対する接し方?

その日、ひとりになってからは後悔しながら夜を過ごした。
本当はかわいそうな親子に私基準の楽しさを押し付ける形での慈善活動に酔っていただけではないのか。
貴重な休日。お子さんは1日かけてお母さんと楽しみたかったのではないか。
シングル家庭にはシングル家庭のルールがあり、それをお金の力で揺さぶってしまったのではないか。
軽薄な偽善で結果的に二人を傷つけてしまったのではないか。
そんな事をぐるぐる考えている内に朝を迎え、フラフラになりながら出勤。
引き続きモヤモヤウジウジしてる仕事中に彼女からLINEを頂く。
私の悩みを見透かしたかのような自然なフォローを織り交ぜつつのお礼メッセージにホッとしたと共に
この人と友達になりたいと心から思えた。

以後、空いた時間にはちょくちょく遊びに行き、お呼ばれし、お泊まりも経験し、敬語も無くなり、名実ともに「友達」になれたと思う。
彼女はこれまで、不幸だとか、かわいそうだとか、大変そうみたいな前提でしか話してくれないため、友達も作り辛かったんだそうだ。
シングルになった経緯については確かに運が悪かった部分はあるかもしれないけど、日々の生活の中で「自分が不幸だ」なんて考えた事は一切無く常に前向き。むしろ子供と居るだけで幸せ。それを言ったところで「無理しなくていいのに」と、腫れ物のように扱われる事が多かった。
そんな中、突然話しかけてきた私の態度は「これまでの人達と違った」のが嬉しくて、ずっとウキウキしていたんだよと言って貰った事が嬉しかった反面、バレていなかっただけで本当は哀れみも混じっていた事を思い出し胸が痛くなった。

ネット上でのシングルマザー事情?

自分語りはこの辺にして・・・
ネットでシングルの方のブログや掲示板情報を見ていると、実際シングルの家庭のお父さん、お母さんは友達を作りにくいらしい。
私が持っていた哀れみの感情は、シングルの方にとって余計な壁に過ぎないようだ。
ママ友、子供の学校繋がり、職場等、どうしても避けられない交友関係はあると思うが、それが全てではない。
もちろん、シングルじゃない人だって悪気があって距離を置いているわけではなく、扱い方に覚えがないというだけだし、下手に関わる事で迷惑になるんじゃないかという一種の優しさが根底にある事も分かる。
それを踏まえ悪者として扱うわけじゃないけど、分かり合えない非シングルから理解を得るのが大変なら最初から望まないという選択肢だってある。
そこで思ったのが、シングル同士なら共有出来る悩みも多く繋がりやすんじゃないかなぁという事。

シングルのコミュニティをネットで探すとチラホラ見つける事が出来るけど、
掲示板は匿名を盾に結構辛辣なワードも多い。
ミクシィ内のコミュニティはなんだか制約が多いし、シングルマザーとファザーの交流という「出会い」色が強く見える。
その他は「シングルでも稼げる!」という怪しげな宣伝に「シングルマザーは狙い目」的な差別的出会い系広告の類。
シングル家庭が受けられる支援情報を探しても情報が散らばっていて、忙しいシングル家庭での勉強はちょっとだけハードルが高いように見える。

シングルマザー・シングルファザー特化コミュニティ?

「シングルマザー/ファザー特化」の落ち着ける場所ってネット上にも無いんだ。
先日行われた子育て給付金の廃止に見られるように、世間の興味はあまりシングル家庭に向いてないのかなと悲しく思えた。
そんな折、職場の同僚がプレスリリースサイトをチェック中に面白いサービスを見つけてきた。

Cooky(クッキー)

日頃の何気無いことや子育ての悩み共有、行政やNPOの支援情報紹介等があり、基本的にここに属しているだけである程度の悩みはカバー出来そうだなぁと思った。
何より「クッキー1枚分の時間、ホッとしましょう」というコピーが秀逸。
シングルさんが立ち上げたサービスなのか、利用者目線のコンセプトに配慮が行き届いていそうだなと感じる。
そして驚きなのは広告が無い事。
営利目的じゃない運営姿勢は、シングルさん達にとっては本当に居心地の良い場所と感じられるんじゃないでしょうか。
プレスリリースに載ってたくらいだから立ち上がったばかりのサイトみたいだけど
ここが盛り上がる事で、ひとつでも多くのご家庭にホッとする時間が訪れればいいなと思えた。
利用者さんはもちろん、運営の方も本当に応援したいと思う。

がんばれ!とは言わない

というかそもそも言う必要が無い。
頑張れという言葉は余裕を持った人にのみ使う言葉であって、仕事に子育てに一生懸命の人には必要無い言葉ですから、あえて言うなら「頑張ってるね」だろうか。
とはいえ人間ですから一息入れる時間は絶対必要だと思う。
自分のため、何よりお子さんのためにも。